ただ思ったことを口にするだけのことが、どうしてできないんだろう?と思うことがある。
自分に対しても、他人に対しても。
想いを言葉にするって、意外と難しい。
言葉に変換して、それを口にするまでの間に、謎の変換器を通して、別の意味を帯びさせてしまう。
その変換器には、
「こんなこと言ったら迷惑かな」なんていう配慮や、
「自分だけがそう思ってるなんてかっこ悪い」なんていう意地や、
「あなたにだけいい思いをさせたくない」なんていう嫉妬、
「こう言えばこう思ってくれるかも」ていう打算などなど、
人の感情が複雑に詰め込まれていて、それを通すと気持ちが屈折して相手に届く。
だから人間関係は難しくなっていく。
素直に伝えることができれば、もしかしたらもっと簡単に分かり合えるのかもしれないのに。
こんなことを最近、毎晩思っています。
なんでかと言うと、久しぶりに読んでいるマンガがまあそんな感じの恋愛ものだからです。
それを寝る前に読むもんだから、目をつぶってから寝落ちするまでの間になんか妙に考えちゃうんですよねー。
そのマンガの主人公は2人の男女。
両想いなのになかなか進展しない、けれど体の関係だけはある、というもどかしい関係。
想いはあるのに恋人同士まで発展しないのは、お互いに素直じゃないから。
私から見ると異性だからそう思うのか、主人公の男性は、特に素直じゃない。
相手を想う気持ちを言葉にしない、できない、なのに相手のことが好きすぎて、不安や嫉妬からキツく当たってしまったりする、本当に不器用な人。
時折、詳細に心境を描写しながら彼の言動を描く場面があるのだけど、その時描かれる感情はただただ「彼女が大好き」っていう、まあかわいらしいものなんです。
なのに、それを言葉にできない、したくない、伝えようとしない、だから裏腹の態度を取ってしまう。
それを読んでて思うんです。
人の取る態度や言う言葉から、人の心を読み取るのって難しいんだなぁ、って。
だって、その男性、女性のことを「くそ可愛い」って思いながら、「今夜連れて帰りたい」と思いながら、
口から出てくる言葉は「俺は先に帰るぞ(プイ)」みたいなことだったりするんですよ。
なんでー!?
なんで真逆のこと言っちゃうのよ!!
それで真意が伝わるわけないでしょうよ!?
一緒に帰りたい、一緒にいたい、と言えばすぐに甘い雰囲気になるでしょうに。
そんな態度で来られるから相手の女性も「おつかれさまでした」みたいな他人行儀な返しして、どんどんこじれていっちゃう。
恋愛が絡むとさらに気持ちを伝えるのが難しくなるのは、
「傷つきたくない」「嫌われたくない」なんて気持ちが大きくなるからなのかなぁ。
端から見れば「もう、素直になって!!」と言いたくもなるけれど、
なかなか簡単にはできないんだよねぇ。
人は、本当の気持ちを簡単には言わないし、裏腹な態度は取るし、嘘をつく。
それで傷つけたり傷ついたり。
悲しい性だけど、それがこうして漫画やドラマになって、エンタメとして成り立つってのも不思議なもんですね。
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」
というチャップリンの言葉を思い出します。
悲劇と喜劇は紙一重なのだね。
…ちょっと違うか。
ちなみにマンガのタイトルは、『liar』です。
タイトルにぴったりの内容です。
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