生きていると、「誰のせいでもない、悲しいこと」ということに
直面することってあるなあ、と、
歳をとるごとに、いろんな経験をして思います。
一番感じたのは東日本大震災の時。
当時は接客業をしていましたし、地域柄、たくさんの被災者の方とお話ししました。
そのたびに、やるせなさというか、どこにもぶつけようのない怒りというか、
そんなものを感じて。
自然災害なので、本当にこればかりは、どうしようもないというか…
今回のコロナも、そうですよね。
まあ、感染拡大防止策がどうとか、そういうことは議論の余地があるにしても、
基本的には、今の状況が誰かのせい、ということではないんじゃないかなと。
その影響は、受けてない人はいないんじゃないか、と思うくらい大きいですが、
忘れたくないのは、大人だけの問題じゃないということですね。
今、甲子園で野球の交流試合をやってるのを見てて、そう思います。
今年は、春のセンバツも、夏の甲子園も開催できなくて、
その代わりに、春のセンバツ出場校を対象に、甲子園で交流試合をやっているんですよ。
トーナメントではなく、各校1試合だけ。無観客(父兄と学生のみ)で行うゲーム。
この状況下で、甲子園で試合ができる、というだけである意味いいのかもしれませんが、
本来であれば、満員の観客の声援と、響き渡る吹奏楽の音をバックにした応援の中で
優勝を目指す晴れ舞台だったわけで。
そこで力を発揮するために、高校生活を賭して頑張ってきた球児だって、少なくないわけで。
その活躍の舞台を奪われて、それはそれはやるせなかっただろうなと…。
これはスポーツニュースを見て知ったことですが、
3月に行われていれば、ずっと指導してくれていた先生と甲子園に行ける、と決まっていた高校もあったんですよね。
4月に転勤してしまうことが決まって、それはかなわなくなり。
きっと、知らないだけで、もっとたくさんあるはずです。
通常開催だったなら、これができていたのに、という話が。
なんで自分たちの代だけこんな目に遭うんだろう、と思うこともあったんじゃないかな。
全国大会や予選はプロのスカウトも注目しているから、
将来がガラッと変わってしまう、という選手も中にはいるかもしれません。
いやー、もう、やるせないというか、なんとも言えない気持ちになりますね。
いくら自分たちの想いが強くても、それに向けて一生懸命努力して結果を出しても、
すべてがかなうわけではない。
どうにもならないこともある。
こんなことを、高校生にして知ってしまうのかと。
もちろん、人命と安全性が最優先ですから、仕方ない、としか言えないんですけどね。
でもその「仕方ない」を、子供に押し付けるのも、なんだかなあ、なんて。
だけど、その状況を受け入れて、その状況の中で精いっぱいできることをやろう、と
今頑張ってる選手たちは、かっこいいですね。
心からそう思う。
「この経験を糧にして」なんてたやすく言えないけれど、
“どうにもならないこともある。その中でどう頑張るか。”
ということを学んだことは、絶対に、強いはず。
そしてその姿を見せていることも、とても尊い。
たとえばこの先、普通に甲子園が開催される日が来たら、
「自分たちもああやってプレーしたかったな」ってうらやましく思ってしまうこともあるかもしれない。
でも、こんな状況下でも頑張ったからこそ、君たちのプレーは、とても記憶に残るものになったんだよ、と
私からは言ってあげたい。
甲子園はほんの一例だけれども、
他にも大人が知らないところで、思い通りにならず苦しい思いをしてる子も
きっとたくさんいるんだろうな。
そんなことにも思いを馳せて。
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