今日は元融資担当者人格で
住宅ローンの借り換えについてお話しします。
銀行員時代、
住宅ローンの審査をしたり相談を受けたりしていた経験もあるので
それを基に書いていきますが、
各銀行ごとのルールや取り決めその他の事象により
この通りには行かない可能性もあることをご了承くださいませ。
そして先に言いますが、
今回は借り換えを勧める記事でも、
お勧めの銀行を紹介する記事でもありません。
もし借り換えを検討している方がいたら、
是非やってもらいたいことがあるのでそれを力説します。
借り換えって手間もお金もかかるからね。
※この記事は今ネット銀行以外で借りている方を想定しています。
結論から
結論から言います。
借り換えを考えて具体的に行動するなら
まず今借りている銀行と金利交渉してください。
借り換えを検討する理由って、
ほぼ100%で金利が高いから、
もしくはもっと安くなるんじゃないかと思ってるから、
だと思います。
それ以外の理由が全く思いつかないので
勝手なんですがこの仮説のまま進めます。
では詳しくお話ししますね。
借りている銀行に相談するメリット
住宅ローンの借り換えって、とても面倒なんですよ。
考えるのも面倒だし、
手続きするのも面倒だし、
複数の銀行とやり取りするのも面倒です。
だったら今借りている銀行に、
「よその銀行はこれくらいの金利なんだけど、
これくらいになります?」って相談した方が圧倒的に楽です。
<条件変更(金利引き下げ)と借り換えの違い>
条件変更
(銀行そのまま) |
借り換え | ||
手続き | 変更契約書など書類2~3枚 | 住宅ローン実行書類すべて | |
費用 | 印紙代 | 印紙代 | |
変更手数料 | 繰り上げ返済手数料 | ||
登記に関する費用
(抵当権設定、抹消) |
|||
保証料 | 保証料は完済した銀行からも戻ってきますので、完全な手出しにはならないと思います | ||
(合計数千円程度) | (合計十数万円程度) | ||
表に基づいてメリットを具体的に見ていきます。
とにかく楽
まず、楽です。
めっちゃ楽。
やらないといけないことが、半分くらいになります。
一つの銀行で相談から手続きまで全部完結する。
必要な書類が圧倒的に少ない。
これに尽きます。
上の表で言う住宅ローン実行書類とは
審査~融資実行までつかった全部の書類のことです。
新しく融資実行するわけですから当然ですが、
所得証明書や印鑑証明、住民票、
謄本や売買契約書などなど、
すべて必要になります。
記入書類も同じです。
申し込みの時、何枚もの書類に住所や名前を書きませんでしたか?
それがもう一度必要になります。
借りている銀行であれば、もちろんそれは必要ありません。
書類集めと書類記入だけでも
かなりの労力差になると思います。
費用が抑えられる
上の表のとおり、
借り換えするのにも結構お金がかかります。
ローン金額が高額なので、印紙代もばかにならない。
借り換えした時の金利差で得する金額に比べれば、
と考えて諸費用を甘く見がちですが、
今借りてる銀行で金利を下げることができれば
おそらく変更手数料と印紙代くらいで済むんじゃないかと思います。
(※各銀行で違いますので要確認)
これだけで10万円以上の差が出ることも。
銀行側もありがたい
お客様にとってもメリットしかないですが、
銀行側としてもありがたい状況です。
借り換えされる=貸金残高が減ることになり、
金利収入がなくなりますので、基本はなるべく避けたいはずです。
金利収入がゼロになるよりは、
薄利になっても貸金を確保したい、というのが普通です。
ですから金利を下げてお客様が借り換えするのを防止することは
よくあります。
しかし、銀行や更には支店によっても方針が違いますので
相談してみないと積極的に応じてくれるのかどうかは残念ながらわかりません。
ですが、一般的には銀行側は引き留めたいと思っていいと思います。
相談してくれるお客様は貴重です。
なんの相談もなしに、
借入先を決めてきて借り換えします、と言われるよりはいいはずです。
少なくとも私はそう思ってました。
つまりWIN-WINになります。
成功しやすい相談の仕方
先ほど、銀行や支店によって方針が違うので
応じてくれるかどうかはわからないと言いました。
それと同じように、相談の仕方によっても成功の可否は違ってきますので、
私が銀行員だったころこんな人が金利交渉に成功したよ、
という事例をいくつかご紹介します。
属性、取引内容
銀行として引き留めたいお客様=金利交渉がしやすい、と言えます。
引き留めたいお客様とは、貸し倒れの心配がなく、
これからも取引をたくさんしてくれそうな方。
身も蓋もないことから言いますけれど、
職業で言うと公務員や上場企業勤務、
年収が高くて安定した職に就いている方は、
成功しやすいでしょう。
あとは取引が厚いお客様。
口座振替や給与振り込みなど、
たくさんのサービスを使ってくれている方です。
いわゆるメインバンクとして使ってくれている方ですね。
住宅ローンを持って行かれると
その取引も全部他行に移される可能性があるので、
交渉に応じてくれる可能性が高いです。
逆にかなり可能性が低くなるのは、
返済の遅れがある方ですね。
少なくとも直近半年は返済に遅れがあると厳しいかもしれません。
タイミング
相談のタイミングで迷われている方もいらっしゃるようですが、
これはいつでもいいです。
固定金利期間終了時がいいかといえば、
それはタイミングとしてはいいのですけれど、
それまでに高い金利、とモヤモヤ思いながら払っていくんだったら
一度相談してもいいと思います。
ただし銀行によっては
固定金利中は条件変更しない、とか
謎の条件が付いているところもありますので
ややダメ元気味で相談した方がいいかもしれません。
けど、応じてくれる場合が多いと思いますので、
いつ相談しようかと悩んでしまうくらいなら一度行ってみましょう。
予約してった方がいい
相談する際には、一度電話を入れた方がいいと思います。
融資担当がいつも支店にいるとは限りませんし、
いきなり訪問していなかった場合、
相当時間待たされるかもしくは最悪担当者不在で無駄足になります。
急ごしらえの担当者が全然話の分からない人で
結局二度手間になったり誤った説明を受けることにもなりかねません。
「今借りている住宅ローンの金利が
借り換えすると他行の方が安くなるようで検討しています。
ただできればそちらで継続したいので、一度ご相談に伺えませんか?」
的なことを言ってアポを取るといいと思います。
一度電話で相談してくれる時点で
やや行員の心象もよくなりますしね。
相談は感じよく
次に結構大事なこと言います。
対応してくれた行員さんとは丁寧にお話ししましょう。
アポを取ってまで行けば、
普通は融資担当が接客をしてくれます。
金利引き下げなどの条件変更をする場合、
相談を受けた融資担当が支店長に“稟議”をあげるのです。
稟議書に、そのお客様に金利引き下げをしたい理由や
銀行にとってのメリットなどを記入して支店長の許可を得ることです。
稟議書の内容が熱ければ熱いほど
すんなり通ります。
つまり、担当者に「この人のために頑張りたい」と思わせればだいたい勝てます。
しっかり丁寧にお話をすれば通じますから、
自然と担当者も頑張ってみようと思えるでしょう。
逆に上から物を言ったり、
「誰がお前の給料払ってると思ってんだ!」みたいなクレーマー的な対応をすると
全く逆効果で(たまにいましたけど)
むしろ厄介なお客様だから他行に引き取っていただいた方がいいんじゃないか…
みたいな発想にもなりかねません。
窓口で最初に話を聞いてくれた人が第一審査員だと思って、
丁寧に相談しましょう。
それでもだめなら借り換えを
以上のような相談を実践しても
思ったように金利が下がらなかった、
金利交渉に応じてくれなかった、
というときには、借り換えを実行しましょう。
その時は借り換え先の銀行で
しっかり諸費用の金額も出してもらってくださいね。
あと、見落としがちですが
住宅ローンを組んだ後に何か病気が発覚したりした場合、
借り換え先の団信に入れないこともあります。
団信に入れないと住宅ローン借りれませんので、
もし健康不安がある方は先に団信が大丈夫か確認してからの方がいいと思います。
散々相談して、いざ借り換えとなった時に団信通らないと
時間が無駄になってしまいますので。
まとめ
借り換える前に今借りている銀行に相談しましょう。
時間的、経済的メリットがたくさんあります。
応じてくれない銀行もあるので過度な期待はやめて
だめだったら借り換えしよー、くらいの気持ちで。
相談の上で借り換えされる分には銀行側も納得のはず。
快く送り出してくれますよ。
それでも借り換えしたい、しないとメリットがでない、という方向けの記事は
また次回に。
借り換えの前にできるだけのことはしてみましょう。
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