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オークラさん、かっこいい。【『自意識とコメディの日々』読後感想】

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本に学ぶ

“第三のバナナマン”と呼ばれる男、作家のオークラさん。

 

ラジオ『バナナムーンGOLD』を聞いていると、毎回必ずといっていいほど出てくるし、

バナナマンじゃないのに何の紹介もなく、驚くほど普通に話し出すので、ファンにはすっかり馴染みの人。

 

ラジオでは

「中学時代、女性に見立てた人形を新聞紙で作って抱こうとした」

とか

「バスケ部時代、ポカリと見せかけてバナナとミロとアイスを入れた特製激甘ドリンクを飲み続けて太り、毎日お弁当箱にニンジン一本だけ入れてダイエットした」

とか

「インプラントのためにつくった入れ歯をなくしてしまい周りも巻き込んで大捜索した結果、ラジオ局の入館証を返す箱に入館証と一緒に放り込んでしまっていた」

とか

とにかく“グズ”エピソードばかり目立つオークラさんなのだけど。

 

本を出した。そして瞬く間に大ヒット!というので読んでみたら、まあ、かっこいいこと!

ちょっとギャップに驚いちゃいました。

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自伝なのに人のことばっかり書いてある。それがかっこいい。

 

オークラさんの自伝、と聞いて読んだのですが、いい意味であんまり自伝っぽくなかったです。

 

どんな自慢話がドヤ顔で書いてあるんだろう、とニヤニヤしながら開いた私、拍子抜け。

 

色んな芸人さんとの関わりを通じてオークラさんが「何を学んだか」とか「どう考えたか・行動したか」みたいな視点の話が多いのです。

 

そのスタンスがねぇ、なんかかっこいいんですよね。

 

人を立てるというか、この芸人さんはこんなところがすごい、という感じで、

芸人さんをかっこよく書いているオークラさんが、なんかかっこよく見える。

 

「自分の本なのに、人を目立たせてどうするんだよまったく…かっこいいなぁ…」

というのが、読んでいる途中に抱いた、素直な感情でした。

 

でも、オークラさんのすごさは十分伝わってくるのが不思議です。

 

なんでしょう。

僕はこれをやった!って声高らかに自慢するわけじゃないのに、

この人すごい、って思わせる技術が、すごかった。

 

人のすごさを認めて、ほめちぎってるから

あんまりドヤってるように見えないのか。

 

それともラジオのオークラさんのイメージがグズすぎて

そのギャップに萌えているのか。

 

とにかくなんか、こんな感想になると思わなかったので、「してやられた」感がありました。

バナナマンの歴史物語でもある

 

そんな内容なので、オークラさんについて知れるのはもちろんのこと、

出てくる芸人さんの歴史も、詳しく知ることができる不思議な自伝です。

 

特に初期から携わっているバナナマンについては、多くのページが割かれています。

 

一度、バナナマンの二人がワクチンの副反応で高熱を出し、そろってラジオを休んだ時がありました。

その時、オークラさんが代打で出演し、バナナマンコントについて語る回になって。

オークラさんは本当にバナナマンを認めているんだなぁというか、リスペクト具合がとっても伝わって来たんですが、その雰囲気がそのまま本になった感じがします。

 

すごさを言語化するって、なかなか難しいと思うんですけど、

オークラさんはバナナマンをはじめ、バカリズムさんとか、ザキヤマさんとか東京03とか、

色んな芸人さんがなんで面白いか、どこがすごいか、どこが唯一無二なのか、ってとこをしっかり言語化してて、「オークラさんて実はすごい人なんだ」と読み進めるごとに思ってしまいました。

そして私は、かが屋を推すことを決めた。

 

本の最後のほうに、オークラさんのお父さんとのエピソードが書いてあるんですが。

そのなかで、お笑いコンビ“かが屋”の憧れがバナナマンだって話が紹介されていて。

 

最近かが屋面白いと思って見てて、ただでさえお気に入りだったんですけど、

それでもう、完全に推しになりました。

バナナマン好きでコントやってる人が面白くないわけがない。

 

本を閉じる時の最後の感想が「かが屋いいじゃん」だった、

そんなオークラさんの本でした。

 

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