平成最後の甲子園。金足農業を全力で応援した夏。

勝負 趣味

こんにちは、ねこまにあ(@necomania7)です。

3000文字チャレンジ、3回目の参加です。

ルールはこちら。

今回のテーマは「勝負」。

勝負と言ったらもう、野球のことしか思い浮かびません。

 

今回はプロ野球ではなく

アマチュア野球の最高峰、甲子園の話をします。

ちょっと長くなる予感がするので

目次をつけます。

 

ではここからどうぞ!

平成最後の甲子園はじまる。

毎年甲子園が始まると東北で必ず耳にする言葉

「深紅の優勝旗が白河の関を越えるように」

 

これは、東北の高校が一度も優勝していないことから

今年こそはという想いがこもった言葉で

東北中の合言葉みたいなものになっている。

 

たぶん東北っ子だったらわかってくれると思うが、

甲子園はまず自分の出身県もしくは現住県など縁のある県の高校を応援し、

負けた瞬間に東北の高校を全部応援する。

という風習がある。

 

私ももちろんそうだ。

 

この夏は平成最後ということもあり、

なんとか平成中に優勝旗を拝みたい…

そんな東北の熱い想いがたちこめていたような気がする。

 

そんな中、東北勢は苦戦する。

 

1回戦、山形・羽黒高校、岩手・花巻東が敗退。

 

シード校で2回戦から出陣の、

宮城・仙台育英、福島・聖光学院も初戦敗退となる。

 

残るは秋田・金足農業と青森・八戸学院光星のみとなってしまった。

 

そんな中、私は初戦から金足農業に注目した。

あの名門鹿児島実業相手に

引けを取らない試合展開。

 

そして何よりもあのピッチャー

そう、後に世間にフィーバーを巻き起こす吉田輝星くんだ。

 

この子がなんとも言えず魅力的なピッチャーに見えた。

全国の舞台で堂々たるピッチング。

自信に満ち溢れているように見えた。

 

野手は打力がどうしても全国レベルに比べ見劣りするが、

スクイズやバントなど小技をしかけ、

出塁するといつの間にかランナーがホームベースを陥れている。

 

彼らならもしかしたらやってくれるのではないか。

いやそんなに甘くないか。

 

初戦はそんな風に見ていた。

2回戦。東北勢がついに1校に

青森・八戸学院光星も2回戦で敗れ、

ついに東北勢は金足農業1校だけになってしまった。

 

この時点で金足農業は東北中の期待を背負うことになった。

しかし優勝するにはまだ遠い。

全国には数多の強豪校がひしめいているのだ。

その頂点が甲子園。

 

まだこの時点では世間も、私も、

がんばれーとほのぼの応援していたと思う。

運命の3回戦

3回戦は横浜高校が相手だった。

文句なしの名門、強豪。

正直に言おう、私はここで負けてしまうと思っていた。

 

現に8回表までは2点差で負けていたのだ。

しかし高校野球は最後まで何が起こるか分からない。

何か起これ!と思いながら

テレビの前で応援していた。

 

8回裏。

奇跡が起こった。

スリーランホームランで逆転。

なんと打った高橋君は

これが高校生活はじめてのホームランだったという逸話つきだ。

 

9回表、ここを抑えれば勝ち、という場面で投げた吉田君は

ここまで100球をゆうに超える球数だったにもかかわらず

圧巻のピッチングで抑え見事勝利。

 

これは…これはもしかするともしかするぞ!?

そんな予感がうずうずしだしたのはこのあたりからだった。

ドラマのような幕切れの4回戦

最初は気安く応援していただけなのに

いつしかテレビの前で正座待機するようになっていた。

4回戦の相手、近江高校ももちろん強豪。

トーナメントを上がる度に

敵が強くなることは言うまでもないことだ。

 

しかし期待せずにはいられない。

 

だが近江戦もまた、先制される展開。

9回表まで1点リードされていた。

 

なんとか9回裏に1点…

せめて延長戦に…

しかし吉田君が延長を戦えるか…

 

そんな消極的ムードになっていた矢先

チャンスが訪れる。

 

ランナー2,3塁に置いて

バッターはスクイズ!

タイミングはばっちり。

成功だ、と思った。

 

来た!これで同点だ!

 

ガッツポーズをしていると実況が叫んだ

「ツーランスクイズだ!」

 

私は目を丸くした

ツーランスクイズ…?

まじか!

走れ!とにかく走れ!

 

2塁ランナーはホームに必死に走っていた。

ボールが返ってくる。

クロスプレイ。

きわどいタイミングだ…

 

心臓がヤバい。

 

その時審判は

大きく両手を広げた。

 

セーフ!

セーフだ!

サヨナラだーー!!

 

私は思わず叫んだ。

「勝った!」

きっと東北中が叫んでいたと思う。

 

すごい。

すごいチームだ!

 

なんとか1点取って延長戦…

なんてちまちましたことは考えてなかった。

この回で決める、その想いがこのプレイを生んだ。

いよいよ準決勝

今回ももちろん正座待機。

相手は日大三高。

激戦区西東京を勝ち抜いてきた強豪校。

 

中でも日置君は評価の高い優秀なバッターだ。

何試合か見たが、チーム全体で打力が高い。

面白いくらいに打っていた印象だった。

 

吉田君の疲労も蓄積されているし、おそらく研究もされている。

抑えきれるか…

 

そう思いながら試合を見ていた。

 

意外なことに、金足農業は先制する。

打のチームという印象だったが、

なかなか金足農業から点が取れない。

予想外のロースコアゲーム。

これはこれで息が詰まりそうなほどの緊張感。

 

しかし吉田君は最後まで落ちついて投げていた。

日大三高は打線が沈黙し、

金足農業が接戦をものにした。

 

決勝進出決定。

相手はあの大阪桐蔭。

泣いても笑っても決勝戦

この大会、まぎれもなく一番注目されていたのは大阪桐蔭だ。

言わずと知れた強豪校なのはもちろん、

二年連続春夏連覇という前人未到の大記録がかかっていたからだ。

 

準決勝、大阪桐蔭は愛媛の済美高校と戦っていた。

第一試合だったので金足農業が決勝進出するかまだ決まっていなかったが

私は済美高校を応援した。

 

金足農業が決勝に進んだ場合、

分があるとすれば済美高校だと思っていたからだ。

 

もちろん済美だって強い。

しかし、大阪桐蔭には圧倒的な選手層の厚さがあった。

 

連日連戦を強いられる甲子園では、

いかに疲労と戦うかもポイントになる。

 

金足農業はエース吉田君でここまで来た。

済美高校もまた、絶対的なエースがいて、チームを引っ張っている。

吉田君のようにたった一人で投げ切っているわけではないが、

決勝という大事な舞台ともなればおそらくエースが投げるだろう。

疲労感は似たり寄ったりだと思う。

 

ただ大阪桐蔭は違う。

エース級のピッチャーを3人抱え、

調子が悪ければ交代することができる。

そうなればピッチャーを吉田君一人に頼っている

金足農業が圧倒的に不利だ。

 

しかし決勝にあがったのは大阪桐蔭だった。

予想通りとはいえ、相手が強すぎる。

 

とはいえ希望を捨てたわけではない。

吉田君の投球次第では勝てる!

 

ここまでくると金足農業は全国から注目を浴びていた。

連日朝からワイドショーが取り上げ、

メディアへの露出は如実に増えていた。

 

そんな中、吉田君のインタビューは立派なものだった。

「必ず勝つ」

しっかりした口調で宣言していた。

 

何度も優勝実績のある高校と対戦するのに

微塵も怖気づいていなかった。

 

ビッグマウスも気に入った。

絵に描いたようなエースだ。

 

公立高校対名門私立高校という構図も

世間の関心を引いたのだろう。

 

アニメ「メジャー」が現実になった!

という表現も見かけた。

 

もはや東北だけではなく日本全国が注目した決勝戦。

ついにプレイボールがかかる。

 

初回にいきなりのピンチ。

ランナーを置いて3、4番のクリーンナップを迎えるが、

なんと2三振。

 

いけるかな、と思った矢先

フォアボールから満塁にし、失点してしまう。

一気に3失点。

 

金足農業は、相手ピッチャーの柿木を打てない。

そこまで速球は速くない。

でもまとめる力がある。

うまい。

 

吉田君の球はどんどん捉えられる。

5回には一挙6点。

まだ中盤だが、点差は10点になった。

 

厳しい。

さすがに厳しい。

 

ついに吉田君はこの甲子園で初めて

マウンドを降りた。

 

惜しみない拍手がスタンドから送られる。

私もテレビの前から同じように拍手をした。

そうせずにいられなかった。

 

最後まで戦って。

甲子園を楽しんで。

みんな応援してるぞ!

そんな気持ちが拍手にこもっていた。

 

結果は13-2で敗退。

惨敗だった。

 

それでも彼らは堂々と戦った。

もうそれでいいんだ。

優勝旗はまた来年の楽しみにしよう。

胸を張って帰ってきてほしい。

 

きっとあの試合を見た誰もが思った。

 

優勝したのは大阪桐蔭なんだから、

メディアももっと大阪桐蔭のことを取り上げてよ、

という風潮もあった。

 

それはそれで正しい。

しかし金足農業の戦いぶりが

それだけ世間を感動させたこともまた事実。

どうせ甲子園の話題はそんなに長くは続かないんだ。

それまでの間、ちょっと感動に浸ってても許してほしい。

金農フィーバー、その後

金足農業の吉田君や大阪桐蔭の藤原君、根尾君、柿木君ら

甲子園で活躍したメンバーはU18日本代表に選ばれ、

それも話題になった。

 

しかし私は、その頃から少し引いて見るようになった。

吉田君は素晴らしい投手で、これからも応援したい。

けれど一番好きなのは、

金足農業というチームで投げている吉田君だった。

 

侍ジャパンもプロ野球も、

バックを守るのはすごい選手ばかり。

バッティングだってひどく優秀だ。

 

そうではなくて

全国レベルで見ると決してうまいとは言えない

少し頼りない

けれど吉田君を信じて自分の力を極限まで出そうと戦う野手

 

その期待を力に変えて投げる

そんな投球スタイルが、

彼の本当の力を出してくれていたのではないか。

 

そんなバランスがとれたチームだったから

金足農業は強かったと思うのだ。

そして全国から応援されていたと思うのだ。

 

これから彼はプロに進む。

私のそんな考えは浅はかなものだったと一蹴してくれるような

偉大な選手になってくれることを願ってやまない。

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